公益社団法人全国老人福祉施設協議会
会員ログイン
  • 全国老施協とは
  • 広報・情報・資料とは
  • 研修セミナーとは
  • 調査・研究
  • 行政資料
  •  

広報・情報・資料

介護作文・フォトコンテスト

 
  • 第4回介護作文・フォトコンテスト
    受賞作品まとめ(作品集) [PDF]
  • ダウンロード
  • 第4回介護作文・フォトコンテスト
    募集要項 [PDF]
  • ダウンロード

平成23年度(第4回)受賞作品一覧

過去の受賞作品はこちら

写真

最優秀賞

「誕生日おめでとう
〜看取り…ともに過ごす時間〜」

(兵庫県 秀石 直美さん)

 
優秀賞

「おばあさん梅が採れたよ
〜ぎょうさんな梅だねえ〜」

(兵庫県 臼井 茂俊さん)

優秀賞

「夏の日の思ひ出」

(広島県 寺岡 幸雄さん)

▲ページTOPへ

作文

最優秀賞

「親愛なる介護職員へ(名取より愛を込めて)」

(愛知県 迫田 栄子さん)
特別養護老人ホーム ユートピアつくも

初秋の頃、その後皆様(職員)いかがお過ごしですか。

名取ボランティアに来て5日目になりました。名取市内は、やっとがれきの山が片付いて、静かな町並みが戻ってきつつあるとの事。でも、震災から半年たってもまだ至る所に、片付いていない場所が有り、改めて、津波の恐ろしさを身近に感じています。昼夜を問わず、余震が発生している日常です。

私達が担当するのは、震災で、今まで過ごしていた老人ホームが流され、財産も家族も全て無くされた方々のケアです。生活の場は、養護老人ホームに併設されているリハビリセンター内に、固い段ボールで仕切られただけの居室で生活されています。狭く、プライバシーの保護のない生活環境の中でも、皆さん(7名の方)努めて明るく生活されています。御一人の居室が2m×2.5mの広さでしょうか。
ベッドとタンスを置けば、それで一杯の居室なのです。

お茶の時間に、一人のばっちゃ(おばあさん)から震災当時の3月11日の出来事を聞きました。地震が来た時、施設の職員が「すぐ逃げろ。足が悪いから車に乗れ。」と言ってばっちゃは車の中に押し込まれたそうです。避難場所に向かっている車の中で、後ろを振り返ると、その職員は、目を充血させ、真青な顔をして、大きく手を振ってくれた。まるで、死を覚悟しているかのように、「サヨナラ」を言いたかったのだろうか、大きく手を振っていたそうです。その数分後、あの大津波が来て老人ホームが跡形もなく流されてしまい、津波が引いた後は、何も残されていなかったとか。その職員は、一番に自分(ばっちゃ)を愛してくれていたし、ばっちゃも一番好きだった。老人ホームと一緒に流されてしまった。職員は3人の子供がいた。

津波さえ来なければ・・・。

震災時の出来事を淡々とお話しされて、私の方が涙が出てくる時もありますが、皆さん、これは「自分の運命」と思ってみえるのでしょうか、淡々と、そして静かにお話しされるのです。家族も財産も思い出も失くしてしまわれたのに・・・。一日一日無事に過ごせる事に感謝しているとも言われていました。

私は、ここで今まで経験した事がない環境の中で、短い期間ですが、少しでも皆さん(7名)の笑顔が出るようにケアしていきたいと思います。

日々の業務に追われて、介護の基本を見失いがちですが、「入所者の声に耳を傾ける」ことを忘れずにケアしていきましょう。


9月15日 夜勤にて  迫田


※この手紙は9/10〜9/21の期間に震災ボランティアとして名取市にある養護老人ホームでお世話になっている時、名古屋の介護職員に宛てた手紙です。
 
優秀賞

「母の輝く場所」

(長野県 木下 俊子さん)
図書館奉仕係

母が認知症になりました。放っておけば幻視幻聴徘徊がすすむという診断。同居している姉夫婦は共働きなので、私は昼間一人になる母のために実家に通うことにしました。一年以上の積み重ねが功を奏してか、母は落ち着きを取り戻しデイサービスにも通えるようになりました。そこで、私はリフレッシュ、念願のケニアへ2週間旅をしてきました。

さて、旅行から帰って初めて母をデイに送り届ける朝です。ところが母はもう金輪際行かないと言い張りました。困ってしまい所長さんに相談に行くとこう話してくれました。「お母さんは長い留守の間本当にがんばっていらしたのですよ。あなたのことが心配でしんぱいでたまらなかったでしょう。それを待って待って待っていたのです、まるで恋人を待つようにね。今日は一日貴女と一緒にいたいのでしょうね。久しぶりにゆっくり旅の話をしたり、おかあさんの話を聞いてあげたりして一緒にすごしてあげてください。」

目から鱗、旅の興奮が覚めやらない私は母の気持ちをすっかり見落としていたのでした。それで、その日は旅の話をし、同じ質問を何度されても根気よく受け答えして母とすごしました。すると、母は「わしも一緒に連れて行ってほしかった」と言い出しました。それが本音一番言いたいことだったのでしょう。私が旅立つときには、そんな素振りは少しもみせませんでした。言えば私を困らせます。認知症になっても、それが、母が母である証のような気がして胸がじんとしました。そこで「ケニアはちょっと遠くて無理だけど、今度は一緒にどこか行こうね」というと母は声を弾ませて母の妹が住んでいる新潟に行きたいと無邪気にねだるのでした。

翌朝は拍子抜けするほどすんなりと母は出かけることができました。デイに着くと前後して送迎の車がきました。一人のご婦人が降り立ちましたが、その方は歩行が困難で手を引いてあげなければ前に進めない方でした。母はさっとその側に近づくとにっこりと手をさしだして「ご一緒しましょうね。」とその方と歩き出しました、一度も私を振り返ることなく。あっけにとられている私に一部始終を見ていた所長さんがまた話してくれました。

「定子さんは昨日一日貴女と過ごして満足されたのでしょうね。そして〈花の木〉が生きがいをもって自分が過ごせるところだということがわかっているのでしょうね。定子さんは人のために何かをしてさしあげるのが生き甲斐です。いわばお節介焼きですが、回りが見守っているここなら安心して思う存分それをすることができます。今、定子さん輝いています。第二か第三の人生をここでぴかぴかに輝いて生きているのですよ。」そのご婦人は母がよく世話を焼いていると連絡帳に登場する〈愛さん〉でした。与える愛、受け取る愛、相互の愛が母の今の居場所です。
 
優秀賞

「家族を繋ぐアーチ」

(新潟県 佐藤 亜矢さん)
特別養護老人ホーム 虹の里

母の作った夕食をみんな揃って話したり笑いながら食べる仲の良い家族。母は決まって聞き役です。いつも穏やかに話を聞いてくれます。「難儀・切ない」の言葉と愚痴は母から聞いた事がありません。誰よりも早く起き、夜遅くまで書き物をして家族を一番に考えてくれていた自慢の母。

その日から一変、日めくりカレンダーの日付が進むことなく、家の時間も止まりました。会社を休み当たり前に任せていた我が子の幼稚園への送り迎えや家事、専業主婦である母の毎日をたどるにつれ今まで全く知らなかった祖母の日常や行動に驚き戸惑いました。「家に帰ります。」と杖を片手に全裸で出掛けようとしたり、みそ汁を作ると言って洗剤を沸かしてしまいます。汚れたパンツはタンスの中へ隠しカーテンでおしりを拭きます。

真夜中、電気をすべて付け「どうなってるんだ!!この家は!!誰もいないのか!!」と物を投げ付け大声で怒鳴る祖母を初めて見ました。

彼氏と上手く行かず泣き止むまで祖母との結婚生活の秘話を話してくれた、そんな「ばあちゃん」が好きでした。

母がいない事実、最も近い存在の母しか知らなかった認知の症状。先の見えない不安。祖母への思い。現実との違いから苛立ち、父も私も息子も怒鳴り口調になり祖母はよりいっそう気持ちが不安定になり理解不能な行動を次々と起こします。負の連鎖による悪循環の繰り返し。

母が今までどれだけ悩んだ事でしょう?認知の症状、麻痺のある身体の介護に不安だったでしょう?家族を守る為、夕食時の笑顔を作る為に自分自身の気持ちをどれだけ押し殺したことでしょう。私も父も認知症を知ろうともせず仕事を理由にすべてを母に押し付けていた事に気づきました。

『孤独介護に追い込んだ家族環境による介護疲れ』
家出した母の本当の理由ではないかと思います。

数日間の母の家出でしたが長く感じ、祖母と母。そして二人を支える環境について考えることが出来ました。

あれから数年が過ぎ、祖母はショートステイを月数回利用しています。母は日頃の介護から開放され友達と日帰り温泉に行くのを楽しみにして います。そして私は祖母の通うショートステイで働いています。今では息子である父の名前、家族の顔を祖母は忘れてしまいました。しかし怒鳴り声を出す事はありません。理解不能な行動も見られません。

家でも仕事先でも「家にいつ帰れるんだろう。」何度も聞かれるたび「明後日だよ。良かったね。」と何回でも答えます。「ありがとね。ここに来て良かった。」と涙を流し握手を求め伸ばす手に、家族の大切さと繋がりを教えて頂いたと感謝の気持ちを込めて今日もその手を握り返します。

▲ページTOPへ

短文

最優秀賞

「乙女のきもち」

(青森県 長内 純子さん)
教員

子どものように はしゃいで 帰ってくる
デイサービスの祖母
買い物
お花見
風船バレー
でてくる話は いつも 男性介護士
 
優秀賞

「素敵なドライバー」

(東京都 宝田 美世子さん)
主婦

サングラスでスポーツカーに乗る姿。
私の1番の自慢だったよ。
今は車イスだけど、
やっぱりかっこいいよ、おじいちゃん。
 
優秀賞

「ヨシ子さんのこと」

(北海道 吉永 めぐみさん)
契約職員

ヨシ子さん、全部忘れちゃった。
ご飯の食べ方も、ボタンのはめ方も、電話の掛け方も。
だけど「風邪ひくよ」って気づかうことは忘れない。

▲ページTOPへ